ショパンのイギリス訪問~スコットランド滞在

ショパンのイギリス訪問~スコットランド滞在

Chopin Episode Vol.10 ショパンのイギリス訪問~スコットランド滞在

こんにちは。引き続き、ショパンのイギリス訪問について書かせていただきます。

3か月間のロンドン滞在を終えたショパンは、スコットランドへ旅立ちます。

ショパンのスコットランド滞在

ショパンは1848年8月初旬にロンドンを発ち、エジンバラに向かいました。それは列車で12時間という長旅でした。

ロンドンの社交界で三か月間奔走したショパンは疲れ切っており、どうしても休養が必要でした。そこで、エジンバラのコルダ―・ハウスという城館で三週間の休養を取ることにします。この城館は、イギリスを代表する作家の一人であるウォルター・スコットの作品にも出てくる、様々な歴史と伝説を持つ、想像力を掻き立てられる城館でした。

この城館には、分厚い壁に囲まれた、どこまでも続く回廊があります。そこにはずらりと先祖代々の肖像画がかかっており、古いものほど黒ずんでいて、スコットランドの民族衣装を着た人物や、甲冑姿の人物など様々な風貌を備えています。おまけに、赤頭巾の幽霊まで出ます(!)何のことはない、ヨーロッパ大陸の幽霊と同じです。おばけが忙しくて、頭飾りを、フランスの悪霊と間違えられないよう変える暇がなかったのだろうと思いますよ。

ショパンの手紙より

ショパンは普段から赤頭巾の幽霊を見ていたのでしょうか…。

また、この城館には樹齢数百年の樹木に囲まれた美しい大庭園がありました。芝生、樹木、山と空のほかは何も見えませんでした。創作活動をするために、ショパンとっては自然に囲まれた生活が必要不可欠でした。ここの環境でなら、作曲ができるかもしれない。と、ショパンの期待は膨らみます。

しかしそこまでゆっくりしている時間は無く、3週間の滞在の後、ショパンは再び列車に8時間乗り、マンチェスターでのコンサートに臨みます。3回公演し(うち1回はアンコール公演)、1500人の聴衆から大歓待を受けました。

さらに9月末にはグラスゴーの「商人会館」で演奏し、90ポンドの報酬が手に入りました。

この年の冬をどう過ごすのか、経済的にも見通しが立っていなかったショパンでしたが、この一連の演奏会の収入によって少しはほっとしたのではないでしょうか。

ショパンの移動ルート:ロンドン→エジンバラ→マンチェスター→グラスゴー→エジンバラ
当時の交通事情を考えると、移動だけでも相当大変であっただろうことが窺えます。現在はロンドン―エジンバラは列車で約5時間、エジンバラ―マンチェスターは列車で約3時間半です。

この頃のショパンの手紙には、具体的なコンサートの模様は詳しく記載されていません。それよりも、持病の結核からくる体調の悪化と、多くの人々に囲まれながらも深い孤独を感じるショパンの心情が吐露されているものが多くなっています。

最後までピアチャームブログをお読みいただき、ありがとうございました。

次回は再びロンドンに戻り、ショパンは自身の生涯で最後のコンサートを開催します。そしてこのブログ「ショパンのイギリス訪問」も最終回となります。

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