Chopin Episode Vol.11 ショパンのイギリス訪問(最終回)~生涯で最後のコンサート
ショパンの初めてのイギリス訪問も、いよいよ幕を閉じます。
彼は1848年11月、ロンドンで生涯最後の演奏会に出演することになります。その演奏会が行われたギルドホールという会場は、現在でもイベントホールとして使われているようです。イギリス出張に行った際にはあいにく中に入れなかったのですが、外観の写真を掲載いたしましたのでぜひご覧ください。
ショパンの生涯最後のコンサート
スコットランドに滞在し、数々の古い城館を訪れては歓迎を受けていたショパン。いつの間にか、季節は夏から秋へと移り変わっていました。スコットランドの厳しい冬の気配はショパンの体調に大きな悪影響を及ぼしており、彼は自分自身がだんだん弱っていくのを感じずにはいられませんでした。
ショパンは、この冬はなんとしてもパリに戻って心身を休めなくては、と考えます。しかしショパンをイギリスに招待した弟子ジェーンは、ショパンにもっと長く滞在してほしいと願ったようです。
そんな時、ロンドンに居る知り合いからショパンに手紙が届きます。その内容は、11月半ばにロンドンで行われる、在英ポーランド人亡命者のための慈善演奏会への出演依頼でした。この依頼を機に、ショパンは再びロンドンへ戻ることを決めます。そしてその演奏会が終わったら、厳しい冬を迎える前にパリに戻ることを決意しました。
1848年10月31日、ショパンはロンドンに戻ってきました。長旅の疲れが出たのか、体調が悪化し2週間も寝込んでしまいます。しかし主治医の懸命な治療もあって、11月16日に行われた慈善演奏会ではなんとか演奏することができたようです。
ショパンはこの演奏会の出演について、「2週間寝込んでいたが、主治医がなんとか恰好をつけてくれて演奏会で弾くことができた。とても素晴らしかった。」と言っています。
この演奏会は結果的に、ショパンの生涯で最後の演奏会となりました。

それはショパンの祖国、ポーランドでかつて勃発した11月蜂起の功労者たち、在英ポーランド人亡命者のための慈善演奏会で、ショパンは1時間演奏しました。
演奏会が終わった晩からまた体調は悪化しましたが、なんとか旅の準備を整え、11月24日にパリに到着しました。パリに着いてからはすぐにベッドで休めるよう、ショパンは部屋の準備を友人にお願いしています。その中でも興味深いのは、「私がパリの部屋に到着する時には、応接間に匂うようにすみれを一束飾っておいてください。家に帰った時ちょっぴり詩的な気分を味わわせてください。寝室に向かって通り抜けるほんの一時のことです。長い長い間寝ていることになるのは自分で承知しています。」
ショパンのイギリス訪問についてのブログはこれにておしまいです。いかがでしたでしょうか。
長々と書いてしまったところもありましたが、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
次回からは、今年で生誕250周年を迎えたベートーヴェンについてのブログをスタートさせたいと思います!
今後ともよろしくお願いいたします。