ショパンのイギリス訪問~ロンドンでの生活3

ショパンのイギリス訪問~ロンドンでの生活3

Chopin Episode Vol.9 ショパンのイギリス訪問~ロンドンでの生活3

こんにちは。前回の記事に引き続き、ショパンのロンドンでの生活について書かせていただきます。

ロンドンの社交界を奔走し、ようやくコンサート開催にこぎつけたショパン。そのコンサートとはどのようなものだったのでしょうか。

⑤ロンドンでのコンサートの成功とスコットランドへの旅立ち

 ショパンの苦労はようやく実を結び、ロンドンで最初のコンサートが開催されることになります。

 1848年6月、ある貴族の邸宅を借りて開催されたこのコンサートのことを、ショパンは後に「非常に優雅なコンサートだった」と評しています。一人1ギニー(現在の日本円で5万円ほど)という高価な料金にも関わらず、多くの参加希望があったようですが、ショパンは150人と人数制限を設けました。会場自体は貴族の邸宅ということもあって広々としており、空間としては余裕がありましたが、部屋中に人が群がるのをショパンが嫌っていたため人数制限を設けたようです。

 チケットはコンサートの前日に売り切れました。コンサートは好評に終わり、追加のコンサートが1か月後に開催されることが早々に決まります。その第2回のコンサートも大成功を収めます。ある新聞社はショパンのことを1面丸々記事にして賞賛するなど、ショパンの評価は日に日に増していくことになりました。 

 その一方で、評判上は成功を収めたように見えたショパンですが、収入は思ったよりも芳しくなかったようです。「手にしたお金は、イタリアでなら1年暮らせるが、イギリスでは半年しかもたない。かといって次のあてもなく、どうしたらいいか分からない。」と彼は不安を口にしています。

 そんな状況下、社交界のシーズンは終わり、貴族たちが夏を過ごすために都会を離れてしまう季節が訪れます。シーズンの終了に合わせ、ショパンもロンドンを離れ、スコットランドに向かうことを決めます。

 ショパンにとって、作曲活動をするために自然に囲まれた生活は欠かせませんでした。スコットランドではそれが叶うかもしれない、そんな希望を胸にショパンはロンドンを後にするのでした。


最後までピアチャームブログをご覧いただきありがとうございます。次回はショパン、スコットランドへ到着します。


ロンドンでのアフタヌーンティーのひととき。蓋付きのいちばん上の段には、温かいスコーンが入っています。社交界では、こんなお菓子がふんだんに用意されていたのでしょう…。

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